REPORT

Urawa High School1August 02, 2013

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In this program, I was in charge of escorting high school students, overall assistance and the facilitation in the discussion process for the students to design their original future aircraft. Though I was unable to successfully manage the time, I found that the students actively expressed their ideas from beginning to end, and discussed how their aircraft should be like, despite the difference in the grade. It was impressive that the students aggressively asked questions about the safety management systems of the aircraft, the cutting-edge technologies of the aircraft structure and so on. It was also memorable that the students then quickly summed up ideas in groups, which are essential to design the future aircraft. このプログラムは、米国のボーイング社、埼玉県の浦和高校、そして東京大学の三者の初めての連携プログラムとして、8月2日に東京大学本郷キャンパスにおいて実施されました。浦和高校からは生徒約40名と引率の教員約10名が参加しました。高校生という立場では、普段の授業はどうしても基礎的な知識の吸収という部分が多く、自主的に問題を解決したり、自分たちが学んでいることがどのように社会で生かされているのかを学んだりといった機会をあまり多く持てないというのが現状です。そこで今回のプログラムでは、社会で第一線に立って優れた航空宇宙技術を開発・運用しているボーイング社の協力のもと、最先端の航空宇宙技術を研究している東京大学が場所を提供することで、浦和高校の高校生たちにそういった最先端の技術に触れてもらい、その体験を通じて普段の授業と社会とのつながりについて具体的なイメージを喚起することが主な目的でした。加えて、研究室と運営を手伝う学生側にとっても、研究内容について分かりやすく整理し、高校生に伝わるように工夫をするという貴重な機会となりました。

プログラムは4つの段階に分けて行われました。まず工学部11号館の講堂でシアトルのボーイング社と電話会議をつなぎ、ボーイング社社員との間で航空機開発に関する質疑応答が英語で行われました。そして鈴木真二先生による解説の後、工学部7号館に移動して航空機について研究している研究室を見学し、航空機を構成する構造・空気力学・制御・推進の4つの分野について調査を行いました。さらに、そこで調査したことを統合し、自分たちで未来の航空機をデザインするという課題を与えられ、限られた時間の中で未来の航空機について議論しました。最後に、再び11号館の講堂において各班の航空機について発表し、鈴木真二先生による講評を頂いてプログラムは午後12時半過ぎに終了しました。

今回のプログラムにおいて、私は生徒の引率と運営の手伝い、それから未来の航空機のデザインにおけるファシリテーターを担当しました。未来の航空機デザインにおける議論では、ファシリテーターとしての未熟さもあり、与えられた時間を過ぎてしまいましたが、生徒達は学年による立場の違いもうまく利用しながら、終始グループとしてまとまった積極的な議論を展開していました。短い時間の中で、安全に航空機を運航するための仕組みや、最先端の航空機構造などを積極的に質問し、自分たちが調べたことをうまく整理したうえで、互いに顔を突き合わせて一つの航空機案を作り上げていったのが非常に印象的でした。

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In the process of the presentation after the discussion, the students actively asked questions each other and some of them were extremely ingoing, like “How much does your aircraft cost?” However, what I found most striking was the comment by Professor Himeno after all the presentations finished. Some students had said that all the problems would be totally solved simultaneously in the future, but Professor Himeno told them that it would be really challenging to solve the problems at one time because they often conflict each other, and because of the trade-offs researchers and technicians had to struggle to balance the problems and to realize the idealized situations. This kind of comment from a professional who is actually struggling to solve conflicting problems must be very precious and beneficial to the students who were trying to build up some specific images of the research and the technology in the society. 発表では、「その航空機の値段は?」など、鋭い質問が生徒からたくさん出ていたことにも驚かされましたが、個人的に最も印象的だったのは、すべての発表が終わったあとの姫野先生の言葉です。「未来の理想の航空機ではすべての問題はうまく解決されている」という生徒達の発表に対して、「実際にはすべての問題をうまく解決することは難しく、現場の研究者たちは問題のトレードオフをうまくとりながら、どうすれば『すべての問題をうまく解決する』ことができるかを一生懸命考えている」という旨のコメントをしていたと記憶しています。生徒達が研究や社会に対して具体的なイメージを抱く中で、研究の現場にいる方だからこそできるそういったコメントはとても貴重で有益だったのではないでしょうか。

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Many of the students were in the second or the third grade, so I was afraid they were mostly concerned about the entrance examination or the daily club activities, and they didn’t have a chance to think of their life “after the exam”. I have expected that the students to learn what the researchers and technicians think about the problems involved, how they react or try to solve them, and what the students should learn to solve them as a professional in the future. I also expect that this program has some positive effects on their thinking of a specific image what their life will be like “after the exam.” 参加した生徒は二年生と三年生が多く、受験を間近に控えた状況で、もしくは日々部活動等に励んでいる状況で、短い高校生活の「その先」について見通すということはなかなか難しいかと思います。このプログラムを通じて、航空業界に関わる人々がどのような問題意識を持ち、それをどのように解決するために日々研究や仕事に取り組んでいるか、そしてそのための手段としてどのような学問を学ぶ必要があるのかなど、大学進学の「その先」に待っているモノがいったい何なのか、プロフェッショナルから直に学び取る機会を与えられたことで、生徒達が高校を卒業した後の人生に少しでも役立てばと期待しています。

航空宇宙工学科3年 
西村陽樹(Haruki Nishimura)

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